
――ところで高阪さん、パンクラスの合同練習はどうでした?
高阪 自分は体育会の出だから、この雰囲気が好きなんですよ。自分は中・高・大と柔道部だったから、こういう男臭い中で、みんなで励まし合いながら練習するのが当たり前だった。いま、こういう雰囲気が残っている道場って少ないじゃないですか。
――ここはインターバルの時でも選手の息づかいが聞こえるくらいで、私語がほとんど聞こえない。みんな黙々とやっている印象がありました。ほかのジムはインターバルになったら、ジョークを言い合ったりするようなところが多いですからね。
高阪 だからこういう練習ができることはすごく大切だと思います。
――実際には高阪さんの方がかなり重いですよね。
高阪 いや、今はそんなに変わらない。今の自分は95キロくらいだから、たぶん5キロくらいだと思いますよ。自分の場合、でかい相手と闘ったらどうしたらいいのか。それがメインとしてあった。結局自分より体重が20キロ以上重い奴と闘ったら、こっちが何か細かい技術を使おうとしても、潰されたら全部おしまい。だからヘタに細かい部分にこだわっていると、簡単にいいポジションをとられてしまう。そういうケースが多いので、やっぱりその場その場の状況でいかにやっていくしか考えていなかった。そういう連中に対して、どうやったら勝てるのか。そういうことをずっと考えながら練習していた。今でもその癖は残っていますね。
――今日の練習を見て思ったのは、いい意味でパンクラスの選手たちは個性がバラバラだったことです。高阪さんのところにお願いしますとやってきても、やりたいことは選手によって全然違っていた。
高阪 いや、でもね、パンクラスの選手たちは相手にプレッシャーをかけるということに関していえば、すごくしっかりできている。まずは自分から一歩踏み込んで何とかしよう。その意気込みはすごく感じる。以前、僕は鈴木(みのる)さんと一緒に練習しようということになって、2001年から2〜3年ほど週一回ほどここに通っていたことがあるけど、当時からそのことは感じていましたね。とにかく踏み込んで相手を押す。単純明解ながら、それは大事なことなんだよね。
――鈴木さんが純プロレスに転向した現在も、鈴木さんの教えは道場に息づいているわけですね。
近藤 そうですね。なんか攻めていないと鈴木さんに怒られていたので(苦笑)。
高阪 やっぱり鈴木さんの影響はでかいと思う。そもそも鈴木さんのスタイルがそうですからね。組み手争いになっても、一歩ずつ前に出ながら差していく。
――だったら近藤さんの影響は?
近藤 いやぁ、ないんじゃないですか(微笑)。
高阪 近藤君の動きは真似しようと思っても真似できるものじゃないから。そこに気づいたら、誰も真似しようと思いませんよ。
――いま、あえて近藤さんに具体的なアドバイスを送るとしたら?
高阪 結局シチュエーションだよね。総合はスタンド、打撃、組んでからのレスリング、テイクダウンからの寝技、その寝技の時にパスガードも含めた上になった状態、押さえ込みも含めたガードの状態。それぞれの状態の中でどうやって自分を活かしていくか。俺、思うんだけど、各シチュエーションの中でふたつできるものがあれば、間違いなく強い。3つできたら、最強だよ。だから、俺はあれこれやる必要はないと思う。ひとつひとつの場面で自分の力を100%に近い形で出せるかどうか。そういうことを練習してさえもらえれば、自分は安心して見ていられる。それでも勝負だから、勝つ時もあれば負ける時もあるよ。だけど、やっぱり自分のやるべきところがブレていなかったら、近藤君に負けた相手が「そんなに押された感じはなかったけど、向こうが勝ってしまったよ」というようなことが起こる。自分は近藤君に関していえば、ものすごく安心して見ている。
