
――総合用の体の使い方は結構研究した方?
高阪 いやね、これはね、ある日突然気づく。近藤君もそうかもしれないけど、練習と試合を繰り返しているうちに、「あっ、こういうことだったのか!」というふうにね。自分の場合、いわゆる打撃はオーソドックスに構えるにけど、柔道は右構えなんですよ。昔は、なぜ構えが逆になるのか自分でよくわからなかった。でもね、右ストレートって打つ時に体を返す。これって柔道の大外刈りとか背負い投げで体を入れる動きに似ている。結局最初の体勢が違うだけで、芯の部分や動かさない部分は一緒。そのことに気づいてから自分は本当に楽になった。
近藤 確かに使い方は一緒なので、僕もそのへんに違いはないと考えています。理想は組み技だけの練習をしていても、体を意識してやっていれば、自然と立ち技もうまくなっていくことですね。
――今まで高阪さんはいろいろな選手と練習してきたと思います。その中で近藤選手に似たタイプはいました?
高阪 え〜とね、なんといったらいいのかな。結構人によって違うんですよ。明らかに近藤選手が他の選手と違うところは、たぶん無意識のうちにやっているんだと思うけど、相手の芯をちょっとズラしている。だから相手は攻めているつもりなのに、実は攻められている。自分ではいい感じと思っているのに、不利な状況に追い込まれている。相手の体の状態をちょっとズラしながら、自分のいいポジションをキープしている。そういうのが近藤君は得意。たぶん自分ではそこまで思っていないかもしれないけど。
近藤 いや、ちょっとは思っていました(照れ笑い)。
高阪 なんでそんなことを思ったかといえば、ジョシュ・バーネットとやった時のイメージがすごく残っているからなんですよ(03年8月31日、両国)。あの時、僕はジョシュのセコンドに就いていたけど、ジョシュってすごくたくさんの技を知っているし、打撃の技術レベルも高い。要するにうまい。だけど、技に対して真面目すぎるきらいがある。「この技をかける時にはこうしなきゃダメ」みたいなところがある。要するにひとつの技に対して、ものすごく真面目なわけです。そういうタイプと闘った時、近藤君の良さはすごく際立つ。
近藤 でも、あの試合に関していえば、それがあまりうまくいっていなかったような気がします。
高阪 途中からね。結局なんだかんだいっても、体重差も体格差もあるから潰されてしまうじゃない。でもねあれだけ体の差のある相手に対してそれを垣間見せたということはすごいと思いましたよ。ジョシュには悪いけど、これは近藤君の試合だなぁと思いました。
――今日は一緒にスパーリングを3本やりました。興味深かったのは、3本とも色が違っていたことです。お互いそれがやりたかったことなのか、確認したいことだったのか、細かい部分はわからなかったけど、見ていてとにかく面白かったです。
高阪 実をいうと、おれも実はちょっとズラしたりするのが好きなんだよね。相手のバランスを崩した時、相手の反応は大きく分けて二通りある。ひとつはバランスを崩した方向に戻ろうとする。もうひとつは相手がかけてきた力を利用して、そのままクルリと回転して元に戻ろうとする。近藤君は両方できる。それが一緒にやっていて面白いなと思いました。

