
DEEP代表・佐伯さんからその話を聞いたのは、去年の11月だった。しなしさとこの結婚式二次会の会場である。
「今度、デブばっかり集めたトーナメントやるからさ、橋本さん実行委員やってよ」
もちろん二つ返事だった。佐伯さんのやることだったら、協力しないわけがない。まして“デブの、デブによる、デブのためのトーナメント”なんてDEEPにしかできないアイディアじゃないか。ルチャドールが参戦したり、レフェリー(和田良覚氏)が試合をしたり、シビアな日本人対決や選手発掘だけでなくバラエティ色もDEEP本来の魅力なのだ。しかも単に重量級の選手を集めるというだけじゃなく、業界最重量ライターの筆者も引き込み、本部席までデブで固めようという、その発想力。本領発揮とはこのことだ。
実行委員に一宮章一が加わり、スポーツバー『ブレーンバスター』で特盛りカレー(メガトン盛り)を食べながら会見し、筆者もノリまくって煽り原稿を書いたりしていくうちに、メガトンGPは新宿FACEでの開催という規模以上の話題を呼ぶようになっていった。

▲スポーツバー『ブレーンバスター』で特盛りカレー(メガトン盛り)を食べながら会見。

大会当日。筆者は実行委員として開会式のリングに上がり、挨拶もさせてもらった。客入りは上々。そしてリング上から見る観客の顔が実によかった。みんなニコニコしてるのだ。100kg以上の選手が16人、それに佐伯さん、筆者、ラウンドガール2名もそれぞれ120kg。リングにいる22名のうち、“通常サイズ”は実行委員長の市野川昌也氏のみという異様な光景に、みんな笑いをこらえきれてないわけである。そしてみんながみんな、大会の主旨というかテイストを完璧に理解した上で見に来てくれている。「格闘技の大会に笑いを持ち込むとは不謹慎」なんて、誰も思わない。映画には恋愛ものがあればアクションもあり、もちろんコメディもある。格闘技だって興奮したり感動したりだけじゃなく、笑えるものがあったっていい。
ただ、リング上で挨拶しているとき、筆者は自分でも予想できなかったくらい緊張していた。足ガクガクである。“客前でしゃべる”こと自体はそれほどでもないんだが、なにしろすぐ後ろに選手たちがいるのだ。そして彼らは、たとえそれが“笑える大会”であろうと真剣に闘い、殴り合い蹴り合って勝ち負けを決めることに変わりがないのである。冗談の二つ三つ言ってやろうかと思ったが、一つしか言えなかった(充分だけど)。
