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(文◎野田裕司/写真提供◎サステイン/2009.2.6 UP)

修斗伝承5 Road To 20th Anniversary
(2009年1月18日◎東京・ディファ有明) 

<第8試合(メインイベント)ウェルター級5分3R>
△遠藤雄介(GOKITA GYM/環太平洋王者・世界1位)
[判定0-1]
△朴光哲(KRAZY BEE/環太平洋9位)


大会終了後。
インタビュースペースから、急いで場内に戻る。
メインに出場した2人の言葉を聞いた今、
客席で試合を見守った彼に、どうしても感想を聞く必要がある。

姿が見えない、携帯を取り出す。
既に会場を出てしまった現世界王者に取材したい旨を伝えると、
今から戻りますね、と信じられない良い人っぷりを発揮してくれた。

笑いながら戻ってきた。
焦るように聞いてみた。

「中蔵さん、メインの試合、そんなにヒドい試合でした?」


プロ化20周年の節目となる2009年、修斗はいきなり動いた。
1月1日より施行された「ダウンカウント廃止」のルール改正。
つまり今大会が、新ルール初の興行となる。

第2試合、いきなりこのルール改正が勝負の明暗を分けた。
韓国人シューター、ゾン・ヨンゼが
パンチで強烈なダウンを奪ったシーン。

以前ならここでダウンカウントが数えられるのだが、
このまま試合は続行となる。

追い討ちのパンチを仕掛けたゾン、
その隙を突き、下から山崎昭博が腕ひしぎ三角固めを極めた。
新ルールを巧みに利用した、大逆転の勝利だった。

メインに登場する遠藤雄介と朴光哲。
共に打撃の強い両者にとって、このルール改正が
試合の鍵を握る大きなポイントになると思われた。

「朴選手が相手なので必然的に面白い試合になります」

“第4代環太平洋ウェルター級王者”遠藤は、
“初代同級王者”朴との試合に向け、そう意気込んだ。

殴り合いを期待するファン、新ルールに変革を求める関係者、
メインイベントに充満する確かな熱気は、
その誰もが想像しえなかった展開により、静かに拡散することとなる。

攻防の中心はグラウンドで行われ、激しく上下が入れ替わる技術戦。
判定はドロー、両者の優劣をつける有効打はなかった。
「ダウンカウントの廃止」というキーワードは、
最後まで誰も口にすることが出来なかった。

だからこそ。
普段、打撃のイメージが強い両者の新しい一面が見れた、と思えたのだが。
全ての流れに順応して闘う修斗の理想がそこにあった、と思えたのだが。

「クソですよ、クソ。
ホントに今日の試合はクソっす、恥ずかしい、表出れない」

吐き捨てるように試合を振り返ったのは朴光哲だった。

「格闘技を知ってる人は、面白かったかもしんないっすけど、
格闘技が素人の知り合いも見てたんで、
その人たちに微塵も伝わらない試合をしちゃったんで、超恥ずかしい」

スイープにテイクダウン、
バックマウントやガードポディションなど、
試合経過をなぞれば、なるほど“格闘技っぽい”言葉が並ぶ。

この2年間、修斗以外のプロモーションで闘ってきた朴。
会場全体がその技術を静かに見守る空間に、満足感を見出すことは出来なかった。

「自分は格闘技が好きだからやってる、というのもあるけど、稼ぎたいから。
知らない人に、いい試合だな、と思わせる試合をしたい。
今日のは『お前の試合は稼げない』と言われてるようなもの。
すいません、格闘技界の足を引っ張ってしまいました」

悔恨のドロー決着。
それでも、判定のうち一人は30-28で朴を支持していた。

「遠藤選手が上を取ったのは、自分が攻めてマウントやバックを取ってからの結果なんで。
自分につけてくれた人は、自分がコントロールした、っていう判断だったんじゃないですかね」

冷静に自分の優位性を分析していく中で、
それでも判定への不満は口にしなかった。

「やっぱ相手が上になっている時間が長かったから判定も修斗だったら妥当かな、と。
僕は客観的に自分の試合を判断できるんで(笑)」

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