
同じく前田の王座を狙う志田も、アマチュアという底辺から登ってきたという点でマルロンと共通している。そんな志田の格闘技人生の一歩から現在までを知る人物がいる。パンクラスの梅木良則レフェリーだ。この試合の際、志田には一つの願いがあった。梅木レフェリーにセコンドに付いて欲しかったのだ。
「梅木さんはP'sLABでずっとトレーナーをされているんですが、今回の大会で梅木さんがレフェリーを終えた後、メインに僕が出るので、是非セコンドにと。尾崎(允実)社長にもお願いしました」
梅木レフェリーと志田が、練習を供にするようになって、もう10年近くになる。その間、志田はアマチュアからプロへ転向し、パンクラスのフェザー級トップコンテンダーにまで成長した。この試合は、いわば二人で磨き上げてきたものの集大成的な意味もあった。
志田は2年以上、前田との再戦を待ち続けている。是が非でも勝って、再戦にこぎつけたい。マルロンも、この試合がフェザー級王座の次期挑戦者決定戦と決まるや、「目の色を変えて準備をしてきた」と関係者は語る。
そんな両陣営の思惑の中、ゴングが鳴った。マルロンの強力な打撃が志田を襲う。それを見て、梅木レフェリーは必死の形相で志田に指示を送る。その声に促されるように、志田も持ち味であるパンチの連打を返していく。しかし、序盤に放ったマルロンのローで、ほぼ勝負がついていた。マルロンはローを腿ではなく、膝より低い分部に蹴ってきた。しかも腰の回転が効いた強力なローだ。不意を突かれ全く防御できなかった志田は、そのダメージが尾を引き、立て直す前に試合が終わってしまった。躍動したマルロンから放たれたヒザ蹴りが、衝撃のKO勝利を呼び込んだ。
