ラジオ番組の「リスナー参加型コーナー」といえば、定番は「電話相談」と「電話クイズ」である。リスナーからの悩み相談にパーソナリティが電話で答えたり、パーソナリティが電話越しに出題するクイズをリスナーに答えてもらったり、ラジオ好きの方なら一度は聴いたことがある企画だろう。
僕らは秒殺で「電話相談」を採用した。しかし、普通にリスナーからの相談に答えるには少々無理がある。だって、リスナーなんて最初から一人もいないんだもん。
そこで悩んだ結果、僕らは発想を逆転させた。つまり、僕らからいきなり見ず知らずのリスナーに電話をかけ、その場で僕らの悩みを聞いてもらうという少々強引な企画に辿りついたのだ。名づけて「地球のみんな、オラに知恵をくれ!」のコーナー。しかも、本来リスナーなんていないから、僕らが勝手に電話帳からランダムに一つの番号を選び、そこにいきなり電話をかけて、出た人と直接交渉するというわけだ。
いざ決行は平日の昼下がり。謎のプロレスラー「パチョレック大吉」に扮した僕が三人を代表して、ある番号に電話をかけた。
「突然お電話して申し訳ございません!KBC京橋の『木村啓二のネバギブサタデー』という番組なんですが、只今お時間よろしいでしょうか?」
木村啓二と笑楽亭萬福は合いの手やフォロー、援護射撃に専念した。電話の後ろでBGMを流し、詳細なリハーサルを何度もしたおかげで、かなりリアルな聴き心地になっていたと思う。なぜなら、電話に 出た見ず知らずの方が一発で信用したからだ。
「今、ラジオの生放送中で、リスナーの方に生電話をしてるんですよ」
「えっ、ラジオ?嘘!?ほんまに!?いやあ、ビックリやわああ!」
関西という土地柄なのか、電話に出た人はめちゃくちゃノリが良かった。しかも、昼間にかけているため、時間を持て余している専業主婦のオバちゃんのようだ。
「KBC京橋は聴いたことありますか?チャンネルは1985なんですけど」
「すいません、聴いたことないんですよ。今、1985にあわせてみますね」
しかし、あわせたところで砂嵐しか聴こえない。それでも、番号を選ぶ際にわざと京橋からは程遠い奈良の人を選んでいるため、次の台詞を言えば納得してもらえた。
「大阪の京橋界隈でしか聴けない番組なんですよ~」
「ああ、そうなんやあ。残念やわあ」
「僕はパチョレック大吉っていうプロレスラーなんですけど、奥さん知ってはります?」
「いや、プロレスはまったくわからんもんで……すいません」
「まあまあ、女性ですからしゃあないですよ。これでも京橋界隈の子供たちにそこそこキャーキャー言われてるんですけどねえ」
「じゃあ、これからチェックしますわあ」
こうやって僕は奈良のオバちゃんでは知りようもないこと、調べようもないことを口八丁でベラベラ捲くし立て、木村と萬福の絶妙な援護射撃もあり、これが本物のラジオ番組であると信用させていったのだ。
今思えばかなりタチの悪いイタズラ電話である。(ごめんなさい!)
けど、当時の僕らはそのまま調子に乗って、そのオバちゃんと大いに電話で盛り上がっていった。「電話相談」のコーナー趣旨もオバちゃんに理解してもらい、パチョレック大吉の悩みをオバちゃんに聞いてもらうことになった。ちなみにオバちゃんはその時点でかなりノリノリ。笑楽亭萬福のことを「ああ、知ってる知ってる!いつもテレビで観てますわあ!!」とありえない知ったかぶりをかましたほど。木村啓二にいたっては「女を泣かせるバラードを唄いなさい」というアドバイスまでしてくれた。
「実は最近、男前の若手プロレスラーに人気を取られて、試合の回数が減っていってるんですよ。プロレスラーとしての実力はまだまだ自信あるんですけど、これから僕はどうして行けばいいんでしょうか?」
パチョレック大吉はオバちゃんにその場で作った悩みを打ち明けた。すると、オバちゃんは「うんうん」と相槌を打ちながら、みのもんたばりに真剣に相談にのってくれた。
正直、そのアドバイスは当時の僕の心にやけに響くものとなった。言わば、人生を変えてくれた金言。きっかけはタチの悪いイタズラだったが、結果的に僕はこのオバちゃんから多大な影響を受けることになったのだ。
第三話に続く。
次回更新は、10月17日(金)です!お楽しみに!!









