僕の友人にEというB級アイドルがいる。とある地方都市出身のEは中学の時に芸能界からスカウトされ、何の迷いもなく上京。すると、マネージャーに「打合せするから」となぜかラブホテルに連れ込まれ、秒殺で大切なヴァージンさんを奪われたという。
そんなアダルトビデオのような展開で幕を開けたEのアイドル人生。気づけば、今年で26歳。芸歴だけは11年。しかし、知名度はまだ大相撲の十両力士より低い。『売れないベテランアイドル』という哀しくも滑稽なポジションをキープしているのだ。
そんなEであるが、何でも最近は「格闘アイドル」という、これまた微妙なキャッチコピーで新たなプロモーション戦略に励んでいるらしい。
「これからは色んなウリを考えなきゃ。最近は鉄道アイドルとか大食いアイドルとかそういうの多いじゃん?だから、あたしは格闘技に詳しいってことにしようと思ってるの」
そう誇らしげに語るE。僕は「そんな奴、今までいっぱいいたけど、みんな泣かず飛ばずだったなあ」と思いながら、とりあえず「Eちゃんって格闘技詳しいの?」と素朴な疑問をぶつけてみた。すると、Eはあっけらかんとこう答えたのだ。
「全然知らないよ。こないだまでプロレスとK1って一緒だと思ってたぐらい。でも、そんなの言ったもん勝ちじゃない?これから勉強すればいいんだし」
うわあ、絶対ダメだ、この娘!見事なまでに典型的な売れないアイドルだ!今までの女子格闘技の歴史をEが知ってるわけないだろうけど、この手の偽者はほぼ間違いなく全滅してきたじゃないか!!AVのパケ写詐欺じゃないんだから絶対失敗するって!!!
しかし、冷静になってみると、僕は少し切なくなった。よく考えれば、Eはそれだけ必死ってことだ。そこまで嘘丸出しの不毛なスタンドプレイに走ってまでも、まだ芸能界で一花咲かせたいって思っているのだ。
そもそもEのデビューはロリ系のグラビアだった。当時は15歳という若さもあり、そこそこ仕事があったものの、続いて打ち出した歌手路線で大失敗。なぜなら、Eはびっくりするぐらい音痴だったからだ。さらにグラビアもあっという間に手詰まりになり、Eは事務所移籍を画策。マネージャーにセックスを強要されることにも疑問を感じていた頃だ。
しかし、新しい事務所は最悪。セックス営業は当たり前のようにあるし、ヌードの話も舞い込んでくる。さすがに全裸はまずいと思ったが、あるカメラマンに「君はお尻が綺麗だ」と煽てられ、ヒップ全開は了承。気づいた頃には「お尻倶楽部」というマニア系エロ本のグラビアに登場してしまったのだ。
その後、Eは「お尻アイドル」のまま20歳を越え、今さらながらようやく真面目に自己の能力を分析。22歳になったある日、僕にこんなことを宣言した。
「あたし音楽も芝居も苦手なの。だから、やっぱバラエティしかないと思う!」
真面目に考えたわりには、ありがちな答えだ。しかし、Eにはバラエティタレントとしても致命的な欠点があった。それはフリートークが苦手なこと。正直、指摘するのもためらってしまうような欠点である。
そして、気づけばEも26歳。相変わらず仕事はないが、ブログだけは怠らない。ちなみにブログにはいつも5件ほどコメントがついている。僕はてっきり根強いファンだと思っていたが、聞くところによるとマネージャーが内緒で書き込んでいるらしい。合掌。
そう考えると、Eが発する「格闘アイドル」って言葉はとても切ないじゃないか。きっと彼女は今さら人生をやり直せないところまできてしまっているのだ。思えば中学生でスカウトされ、青春のすべてを芸能界に費やしてきた。ここでアイドルを諦め、OLにでもなろうものなら今までの苦労をすべて否定されるようなものなのだ。
しかし、先日、そんなEへの同情すらも馬鹿らしく思うような事件に遭遇した。
その日、Eを含めた友人数人と食事した僕は、帰りの方向が同じだったこともあり、Eを車で送っていくことになった。都内で1人暮らしをしているというE。僕はてっきりどこかのアパートに暮らしていると思っていた。
しかし、送り届けた先にそびえ立っていたのは渋谷の一等地にあるオートロックのお洒落な高級デザイナーズマンション!
どう考えてもおかしいだろ!なんでEがこんな高級マンションに住めるんだ!?Eの仕事は雑誌にチャットに撮影会だぞ!?なのに住まいは高級マンションってどういうことだ!?
僕は帰りの車の中で、そんなEの謎を解き明かそうと頭をフル回転させた。そして、導き出した答えは1つ。これしか考えられない。
Eには絶対、パパがいるぞ!!!!
次回更新は、7月18日(金)です!お楽しみに!!









